ウクライナの黒壺。主に西ウクライナ(カルパチア山脈周辺)で作られてきた、日常の煮炊きや保存のための土器です。
飾り気のない東欧らしい素朴さとたっぷりとした心地の良い曲線、景色の良さに惹かれて手にしました。
H23cm
この黒色は釉薬ではなく、焼成時に酸素を制限し煙をまとわせる「燻し焼成(還元焼成)」によって生まれます。土の中の鉄分が反応し、器全体が深い黒へと変化します。
厚みのある素地は直火での使用を前提としており、煮込みやスープなどの調理に使われてきました。両側の耳は持ち運びや吊るしのための形状です。
個体ごとに焼成環境の差が現れ、黒の濃淡や表情に揺らぎがあります。
装飾を目的とした器ではなく、生活の中で繰り返し使われてきた実用の容れ物が持つ美しさは日本の用の美に通じるものを感じます。