李朝の骨董に心打たれ、日々の暮らしから身の回りの品々を自らつくるタナカシゲオさん。
近年研究を重ねているオランダのデルフトを再現した釉薬に、李朝の石箱のフォルムでお作りくださった逸品。
デルフトDelftは十七世紀にオランダで栄えた錫釉陶器で、デルフトの錫釉によるやわらかな白はあらゆる陶芸家の一つの指標となっていると言っても過言ではないくらい、今なお求められ続ける白です。
李朝の石箱もまた、骨董好き(私もタナカさんも含む)が必ずや心惹かれてやまない箱の一つです。
磁器ではなく陶器ならではの温かみと、デルフトならではの厚みに対して軽い、和本のような手持ち感。
白く正方でありながらタナカさんらしい大らかな余白があり、中に何を入れるか想像が楽しい。
人を自由にする箱です。
size / 12cm x 12cm 高さ8cm
時代 / 現代 2025
国 / Japan
*配送まで一週間から10日ほど頂いております。企画展作品は全ての展示が終了後の発送となります。
【 about タナカシゲオ 】
奈良県の明日香村。
美しい田園風景と高松塚古墳、石舞台など、歴史的遺跡や古墳が多数存在するその土地は、日本はじまりの地と呼ばれる場所でもある。その地で、土と火と自然と語らい暮らす、タナカシゲオ。李朝などの古い器に影響を受けた彼は、ただ技術を真似るのではなく、古き時代のように自ら土を掘り、広葉樹から釉薬となる灰を作り、窯も自ら作る。
『ただ技法を研究するより、その時代の暮らしを自然とするうちに自然も器にも美が宿っていくんじゃないかと思う。』そう語る彼は年上ながら、作ることを純粋に楽しんでいて少年のようです。
自然と共に生きる、つくる。その時間そのものを、心から楽しむ。それが彼の生き方であり、つくるという事。